モノづくりをする職業の責任
建築は建築士だけで完結するものではなく建設会社や施工業者など、複数の会社が関わることになります。そんな中で、建築士個人に対して有罪判決が出たのはこれまででも異例で、個人的にも衝撃が大きかったです。
これを広告のデザイナー、コピーライターに置きかえるとどうでしょうか。1960年頃、ドイツで「妊婦でも安心して飲める睡眠・鎮静剤」として発売された「サリドマイド製剤」という薬があります。日本でも発売された薬ですが、実際は妊婦が服用すると安心できるどころか、奇形児が生まれる可能性が高くなるという薬でした。しかも医師の処方箋が不要な大衆薬であり、数年間はその危険性も知らされずに一般販売されていたそうです。
これは「サリドマイド事件」として有名ですが、世間一般的には薬の輸入を許可した国と、薬の製造を行った製薬会社の責任が問われています。一方で多額の報酬を受け取り、この薬を意図的に世間に広めた広告のデザイナーやコピーライターには責任が全くないといえるでしょうか。
クライアントから依頼されたのだから仕方ない。至極真っ当な回答だと思います。ただ本当にその一言で終わってもいい問題でしょうか。このあたりを自分なりに消化しようとするか、仕方がないと思考停止するか、は大きな違いだと思います。モノゴトを意図的に世間に広める以上、広めたコトへの責任を持つべきではないかという考え方。
デザイナー、コピーライターという職業の責任は、当事者たちの意識に比べ、はるかに重責なのではと感じています。ただ、デザイナーやコピーライターが、それぞれの仕事を通じて有罪になったという事例は僕の知る限りはありません。そういう意味では、これらの職業の社会的地位の低さがある気がしてなりません。そんなことを感じたニュースでした。
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