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印刷コストを抑えるにはどうすべきか

年賀状の季節ですね。毎年我が家では、子供の写真を使った年賀状をつくっているのですが、ほぼ自宅で印刷をしています。というよりも、本当は印刷サービスを利用したいのですが、つくるのがギリギリになってしまい、印刷サービスだと間に合わず、結果的に自宅で印刷している、といったほうが正しいかもしれません。

自宅で印刷していると「あれ、インクがない?」ということが多々あり、近所の電気屋に走り「インクってこんな高かったっけ?」と思いつつ、背に腹は変えられないので、仕方なく購入するというルーティンが毎年のように続いています。つくづくインクって高いなと思いますが、これは俗に言う「インク商法」というビジネスモデルで、本体は安く販売し、消耗品で利益を得るという考え方。ひげ剃りやコーヒーメーカーなども同じようなモデルですね。

そんなインクのコストの高さに着目した、アメリカでの素晴らしい取り組みがあります。
それが「フォントを変えて印刷費を抑える」という取り組み。

連邦政府の印刷コストは年間18億ドルで、そのなかでもインク代は4億6,700万ドルにもなるようです。インク代を日本円に換算すると、約500億円ぐらいでしょうか。アルファベットでよく使われる文字が「e・t・a・o・r」の5文字だそうで、これらの文字を印刷した場合のインク量をフォント毎にグラフ化して、最もインク消費効率のいいフォントを調査。Garamond、Times New Roman、Century Gothic、Comic Sansの4つの書体で調査したところ、最も結果がよかったのがGaramond。仮に連邦政府がGaramondを採用すれば、それだけで全インク代の約3割にあたる、年間1億3,600万ドル(日本円で約150億円)の節約になるとのことです。

これを考案したのが、当時14歳の中学生というところが驚きです。中学校でもらうプリントの量が、小学校の時に比べてかなり多いことに気付き、この取り組みを始めたそうです。

この例は規模が規模なので、我が家の年賀状では雀の涙ぐらいしか変わらないかもしれませんが、壮大な問題の解決策を考えるのではなく、普段の生活の中の小さなことに疑問を持ち、それを解決する。ひいてはそれが、大きな物事の解決へとつながっていく。こういう視点はとても好きです。

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