気になる事例

除雪の順番だけでも人を傷つけることができる

ダイバーシティの時代といわれて久しいですが、あちらを立てればこちらが立たず、ということは往々にして起こります。誰もが不自由なく利用できることを目指したユニバーサルデザインと同じ難しさを感じます。

スウェーデンのとある街では、毎日の除雪が欠かせないそうです。除雪をする順番は、まずは車が走る大通り、その次に歩道、その次に自転車道という順番。基本的に、この順番での除雪で恩恵を受けるのは男性で、女性は不満を持ち、傷ついていることがわかりました。

それはなぜでしょうか。

スウェーデンは高級車として知られるボルボ発祥の地ということもあり、自家用車をもっている割合が多く、交通渋滞が頻繁に起こるそうです。日本では都市圏だと通勤に車を使うということはあまりないですが、スウェーデンは公共の交通機関がそこまで整ってはいないこともあり、車通勤が非常に多くなっています。また車の所有率は男性が高く、女性は歩いたり、公共交通機関を使って移動することが多く、無意識にうちに男性が好む交通手段を優先してしまっている状況でした。

そこで除雪の順番を変えたところ、歩行者が移動しやすくなり、公共交通機関の利用者が増え、渋滞も緩和。車を運転できない子どもや若者など、すべての人にとって、街全体のアクセシビリティが向上し、長い目で見ればドライバーにとってもメリットのある状況をつくり出すことができました。

単純に除雪の順番を変えるだけですが、当たり前のことに疑問を持ったからこそできた解決策ではないでしょうか。このような都市開発への問題提起や解決策の提示にデザイナーがもっと積極的に関わることで、解決できる問題も多いように思います。

多様性のデザイン。難しさはありますが、今後はより重視されていく分野だと思います。

まずは当たり前を疑うことから。

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