気になる事例

タバコのポイ捨てを劇的に減らす投票型灰皿「Ballot Bin」

イタリアの石畳が美しいなと思って、27歳の時にミラノとローマに行きました。
それまで想像していた光景とは違って、石畳を間近で見ると石と石との間にタバコの吸い殻がたくさん捨てられていて、リアルに自分の目で見ることは大事だなと実感した記憶があります。よくよく考えると、あれだけある石畳の間にゴミがないというほうが不思議ではあるのですが、写真だけではやっぱりわかりづらいですね。

そんな中、イギリスのNPO団体「Hubbub Foundation(ハバブ財団)」が、タバコのポイ捨て削減のための仕掛けを展開していました。

その仕掛けとは「投票型の灰皿」を設置すること。

Ballot Binと名付けられたこの灰皿ですが、仕組みとしては一目瞭然。まずはお題があり、そのどちらかに投票するように吸い殻をいれるだけ。お題としては以下のようなものがあったようです。イギリスなので、サッカーネタがウケるんですかね。

・世界最高のプレイヤーはどっち?ロナウド or メッシ
・土曜日の地元ダービーで勝つのは?アーセナル or トットハム

ハバブ財団の関係者によると、このプロジェクトを進めるにあたり、まず行ったことは「観察」だそうです。

どうやって吸い殻が地面に落ちるか。

観察をしていると、若者がパブの近くで話をしながらポイ捨てをしていました。そこで、「ポイ捨てをやめさせる」のではなく「若者が話をしている内容に着目する」ことから、ポイ捨て問題を解決しようと考えたとのことです。

またこの取り組み自体、TwitterをはじめとしたSNSでも一般ユーザーから数多く発信され、知名度向上にもつながっているようで、母国イギリスはもちろん、アメリカの一部でもテスト運用がされているようです。確かに普通は灰皿をSNSにアップしようとは思わないですね。

いいデザインは人の行動もコントロールできる。人の行動を設計する素晴らしいデザインだと思いました。

毎年、イギリス政府はおよそ8.5億ポンド(約1,500億円)もの予算をかけて、公道清掃にあたっているにも関わらず、「この12年間一向に改善されていない現状」だと「Hubbub」は指摘します。政府主導では、いつまでたっても自分たちの街を綺麗にはできない。市民レベルでのアクションを呼びかけ、インタラクティブデザインや公共広告に特化したデザインチームと協力し、次々にユニークなクリーンキャンペーンを展開中。

タバコのポイ捨てを、劇的に減らした「看板」。その斬新すぎる仕掛けとは? | TABI LABO

ワイヤを使って高速道路での対向車線への飛び出しを激減させる前のページ

モノの価値を増幅させる「イケア効果」次のページ

関連記事

  1. 気になる事例

    デンマークの改札機のデザイン

    コロナ禍で電車にのる機会はめっきり減りましたが、それでも大阪駅等のタ…

  2. 気になる事例

    水の運搬機能と浄水機能の両方をもたらす乗り物「Aquaduct(アクアダクト)」

    今回は人間の生命線でもある「水」をテーマにした事例をご紹介します。発…

  3. 気になる事例

    交差点の事故を0件にする方法!?

    奈良県大和郡山市のとある交差点では、人身事故が後を絶たなかったそうです…

  4. 気になる事例

    ゴミ箱に捨ててもらうにはどうすればいいか

    最近は公園にいってもゴミ箱が少なくなり、各自で持ち帰るというのがスタ…

  5. 気になる事例

    人の行動を観察して、自動販売機の売上をアップ

    日本は自動販売機の数が異常に多いと言われています。確かに海外に行くと、…

  6. 気になる事例

    ガストロフィジクスによる、 おいしさの錯覚

    僕が未熟でありたいと思う感覚のひとつに「味覚」があります。職業柄、…

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

最近の記事

  1. 気になる事例

    ガストロフィジクスによる、 おいしさの錯覚
  2. 気になる事例

    水の運搬機能と浄水機能の両方をもたらす乗り物「Aquaduct(アクアダクト)」…
  3. 気になる事例

    ワイヤを使って高速道路での対向車線への飛び出しを激減させる
  4. 気になる事例

    印刷コストを抑えるにはどうすべきか
  5. 気になる事例

    除雪の順番だけでも人を傷つけることができる
PAGE TOP