気になる事例

風が転がしてくれる地雷撤去ボール「Mine Kafon(マイン・カフォン)」

世界中に地雷がいくつ存在しているかご存知でしょうか。

世界中に埋められている地雷の数は約5,000万基と推定されています。

また非常に驚かされるのは、実は地雷は「人を殺すため」のものではありません。地雷は「人に大怪我をさせる」ものです。怪我をさせることで、地雷で被害と受けた人の救助に仲間が向かいます。その仲間をさらに攻撃するわけです。人間一人を殺傷するよりも、はるかに効率的に甚大なダメージを与えることができるのです。しかも1つの地雷を設置するコストは大体3ドルです。除去にはその約50倍のコストがかかります。これが地雷が、非人道兵器と呼ばれる由縁かもしれません。

世界70カ国に合計1億1000万個の地雷が埋設されており、そのために毎月2000人が地雷事故に巻き込まれ、そのうち800人が死ぬ。被害者の大多数は男性である(カンボジアでは87パーセントを占める)。被害者の85パーセントが病院に運ばれる前に死ぬ。年間10万個の地雷が除去されるが、一方で最近まで年間200万個が新たに埋設されていた。
引用元:http://www.angkor-ruins.com/landmine/html/basics.htm

こんな非人道兵器を、デザインの力で解決しようとしている試みが、風が転がしてくれる地雷撤去ボール「Mine Kafon(マイン・カフォン)」です。

「タンブルウィード」という言葉があります。タンブルウィードとは別名「回転草」。西部劇の映画の決闘場面でよくでてくると思いますが、荒野を転々と風に乗って転げていく、あの軽くて丸い草です。それを模した地雷除去装置が生み出されました。

仕組みとしては風の力で移動し、複数の吸盤のような形状の足が地面を押し付け、そこに地雷があれば爆発させる、といったものになります。この装置の特徴は以下の3点に集約されます。

  1. 動力源が風なので安価
  2. 竹に吸盤がついた足を取り付けるだけなので簡単
  3. 撤去ではなく、わざと爆発させる除去方式なので安全

先端部分で風をとらえて、地雷除去エリアを転がり続け、1台で大体3〜4基の地雷を除去できるのだそうです。前述のとおり、世界中には約5,000万基の地雷が埋められていると言われていて、年間10万個ほど除去活動によって取り除かれている一方で、毎年200万個ほど新たに埋められているという話もあります。

すべてを除去できるのはまだまだ先の話かもしれませんが、安価で簡単・安全に地雷を除去できる。秀逸なアイデアだと思います。

引用元:http://minekafon.org/index.php/mine-kafon-ball/

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